本『フランクル 夜と霧』 諸富祥彦著 NHK出版

 アウシュヴィッツ強制収容所に送られたにも関わらず生還した、精神科医フランクルの本『夜と霧』を解説した本である。絶望的な状況でも人間は希望を見出すことができるということで、当時大ベストセラーとなったようで、日本で出版された際もかなり売れた様子。

印象的なのは、「人間が人生の意味は何かと問う前に、人生のほうが人間に問いを発してきている。だから人間は、ほんとうは、生きる意味を問い求める必要などないのである。人間は、人生から問われている存在である。人間は、生きる意味を求めて問いを発するのではなくて、人生からの問いに答えなくてはならない存在なのである」という言葉だ。

確かに私たちは主観的に物事を考えがちだ。筆者の言うようにこの言葉は、多くの人にとってコペルニクス的転回になるのではないだろうか。