本『神は詳細に宿る』 養老孟司著 青土社

 『バカの壁』で一躍有名になった東大医学部卒の解剖学者である養老孟司先生の本。この人は頭が良すぎるのか書いている内容が難解で理解できない部分がいくつかありました。ただ現代人とは異なる物の見方をするので視野が広がり勉強になります。特に感銘を受けたのは、自然という非社会脳に対して原発という社会脳で対応しようとするところに無理があるという話でした。現代は人間の意識が作り出したものばかりで、意識というものに重きを置きすぎているけれど、意識なんていうのはそんなに信用できるものなのか、というのが先生の主張で、読んでいて確かにそうだなと納得しました。

自然というのは複雑すぎて単純に割り切れるものではないにも関わらず、単純化しようとするのが現代だというのはその通りですね。人間の体も自然の一部だから複雑そのもの。それを単純化しようとすると様々な問題が生じてくるということを言いたかったのかなと本を読んでいて感じました。

難解な部分はありますが、現代人に欠けている視点を書いてくれているので都会で生きていて生きづらさを感じている人には特にお勧めです。